ナナとカオル13巻の収録エピソードと、読んだ感想です。
13巻に収録されている話
タイトル | 初出 | |
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第106話 | 首輪を作ってくれない!? | ヤングアニマル 2013年No.22 |
第107話 | 首輪を誰が作るんだ!? | ヤングアニマル 2013年No.23 |
第108話 | 首輪はどう出来ている!? | ヤングアニマル 2014年No.1 |
第109話 | 首輪は一体何のために!? | ヤングアニマル 2014年No.2 |
第110話 | 首輪ひとつに込めるもの | ヤングアニマル 2014年No.3 |
第111話 | 首輪ができました♡ | ヤングアニマル 2014年No.4 |
第112話 | アメとムチ | ヤングアニマル 2014年No.5 |
第113話 | 半年前と同じ場所で | ヤングアニマル 2014年No.6 |
第114話 | ナナとカオルと、館と榊原 | ヤングアニマル 2014年No.8 |
13巻は2013年後半~2014年前半に、ヤングアニマルに掲載されたお話が収録されていました。
ちなみに第113話と第114話の間に嵐の方で約4年連載されていた「ナナとカオル Black Label」の連載が終了しています。
また、コミックスの冒頭には連載6周年を記念して雑誌掲載時に描かれた温泉でのパラレルワールド的なお話も収録されていました。
エピソード別まとめ
首輪を作ろう編(12巻~第111話)
新しい首輪で夜の散歩(第112話~14巻に続く)
見どころ・読んだ感想
13巻は終始「首輪」に関するエピソードになっています。
前半~中盤は二人で納得のいく首輪を作るお話。
後半はその首輪をつけたくてウズウズした二人が夜のお散歩に出かけるお話でした。
オッ オレが Sだから
点助のお師匠「団」さんに首輪を作ることになった経緯を聞かれ、その流れから「なぜ嬢ちゃんが首輪の代金を支払うことを断ったのか」と問われたカオル。
その答えは「えっ SM…は あっ 危ないからっ」というものでした。
肉体的にも精神的にも危ないことをやっているという自覚があり、大切なナナちゃんを気持ちよくさせたい反面、傷つけないという覚悟。
ケガをさせるのはもってのほかだし、千草奈々としての日常が崩れてしまうのは絶対にダメ。
そのために自分が全ての内容にたいして責任を持たなければならず・・・お金を出すところからしっかりしなければならない・・・という気持ちの表れだったのです。
・・・すごい。
これは更科先生の教えというより、カオルが独自に辿り着いた流儀・・・カオルなりの美学なんでしょう。
正直言ってSMについての知識が全くなかった僕にとっては、カオルみたいなSがいる(のかもしれない)ということを知れたのは一つ自分の成長に繋がりました。ありがとうカオル。
愛すべき団さん
カオルの熱さ、ピュアさについつい照れてしまう団さんw
Black Labelでは更科先生をも虜にしちゃうし、カオルってば本当におじさんにモテモテなんですよねえ。
いや、おじさんだけじゃないか。
橘さんやのちの巻で出てくる上原アイさんにも好かれているし、なんだったらナナちゃんのお母さんもカオルのことは悪く思ってないし。
同級生の女の子たちだけが「見る目がない」って感じなのかもしれませんね。(仕方ないけど)
とにかくカオルにデレデレしちゃう団さんが可愛すぎますw
ナナちゃんとカオルの関係
点助からの帰り道、電車の中でナナちゃんが考えていたのはカオルとの関係についてでした。
いつも一緒だった小学校の頃
いつの間にか距離ができた中学時代…
偶然始まった”息抜き”
ナナちゃんにしてみたら、カオルはカオルで、いつもそこにいて当たり前の存在だったんですよね。
それが息抜きを経験して特別な存在となりつつあり、そんな関係がいつかは終わってしまうのかもしれない・・・ということに不安を感じつつ、それをうまく言葉(かたち)にできないというもどかしさがありました。
おそらくは性別ということを気にしないで一緒に育った幼馴染である二人。
それがこうして強烈に相手を異性として意識してしまうタイミングっていうのが本当にあるのかはわかりませんが、あるのだとしたらやっぱり苦しいだろうなぁ・・・。
「相手を異性だと思っているのは自分だけ?」と不安に思うこともあるだろうし。
友達、幼馴染、腐れ縁・・・そう言い表せる関係なのであれば、きっと何があったとしても細く繋がっていくことはできると思うんです。
でも、異性として意識してしまったら・・・好きだと感じてしまったら、そういうわけにはいかないんだろうな・・・と。
愛すべき京子さん
自分で首輪を作るため、点助に通うことになったカオル。
そこで京子さんのプロの腕をみていちいち感動してしまいます。
そんなピュアなカオルにこれまた照れる京子さんw可愛いなぁ。
※その実は、まだSMの世界を理解しきれずに「自分がプロである」ということを認められない京子さんの葛藤だったりもするのですが、、、
ただカオルは京子さんを「年下の子供(しかも男)」だと思ってたんですよねえw
どんだけチンチクリンなんだ・・・。
それなのにこの人、地元では有名なレディースだったことが後の巻(16巻)で明らかになります。
それとは別にこいつはいいモノにしたいよな
京子さんに「パートナーと不釣り合い」とからかわれたカオル。
そんなことはもう何年も前から知っていたことなので、いまさら動じることはありません。
それでも好きだから、一生懸命首輪を作っているんだろ?
もうちょっと頑張れと激が飛んできますが
…まァせいぜい頑張るさ
それとは別にこいつはいいモノにしたいよなナナが身につけるんだ
オレが今できるベストにしたい
と、夢中で首輪作りに打ち込むのでした。
なんだろう・・・カオルの潔さというか。
以前矢神会長に語った「オレとナナが釣り合う訳ねーだろッ」っていうのとはまた違ってて、まっすぐにナナちゃんのことを考えて打ち込んでいるという感じ。
すごく「今を生きている」という感じが伝わってくるいいシーンだったと思います。
一つ穴の首輪
カオルは自分が作る首輪を「一つ穴の首輪」にしたいと思っていました。
ナナちゃんしかつけないので、ベルトを止める穴は一つでいいわけですよね。
これは6巻「初詣でTAKE2」の話の中で偶然ナナちゃんも知ることになり、その後ひょんなキッカケで点助を訪れることになったナナちゃんの口からも「一つ穴の首輪が欲しい」という欲求が語られることになりました。
・・・こういうのを”伏線”っていうんだよなぁ!!
言葉にできないものだから
京子さんの計らいで、カオルが首輪を作っているところをのぞき見させてもらったナナちゃん。
そしてその首輪につける錠前を自分で探すことに。
錠前を探しているナナちゃんに京子さんは「自分の首を絞める錠前を探している気分」がどんな気持ちなのかを尋ねます。
ナナちゃんは相変わらず
私うまく”息抜き”の…ことも カオルとの関係…のこともっ
うまく こっ…言葉にできない
と、自分の気持ちを表すことができない様子。
でも、
…けど
でも!
だから?ほっ…ほっ!欲しいのっ
言葉にできないものだからっ
だから私 カオル…との ”息抜き”が欲しいの
と告げました。
まだカオルに対しての気持ちには気づけていないものの、自分とカオルを繋ぎとめておくための「形」になるもの・・・首輪がナナちゃんには必要だっていうことなんですよね。
ある意味では「M的」というか・・・首輪ならカオルに主導権を握ってもらって、この関係を続けることができると感じたのかな。
はじめての共同作業
ナナちゃんは学校の補習を早退してまで点助に来て、首輪につける錠前を選びました。
それを咎めるカオルに対し
私とカオルの首輪だもん
私にとって勉強と同じ位っ 大事なことなんだものッ
と伝えるナナちゃん。
そうかぁ・・・夢を追うということと同じくらい、カオルとの関係が大切ってことがナナちゃんもわかってたんだ。
「これが一番ぴったりくるっていう…か」と、ナナちゃんが選んだ錠前はなんとハート型のものでした。
これにはカオルも照れまくり。
結果的にその錠前に合うような首輪を作り直すことに。
なんとか手縫いで首輪を作り直すカオル。
ナナちゃんの首につける、二人の首輪・・・ということもあって、団さんに褒められるほどのクオリティに仕上がりました。(京子さんは納得いってないようだったけどw)
最後の工程、ベルトの一つ穴を開けるところにきてカオルは
さっ 最後のあ゙っ…穴…はっ
ナナ…と あ゙っ 開けたい
と告げます。
これにはナナちゃんも軽く引いたのか、いやそれとも単純に恥ずかしかったのか、クレヨンしんちゃんみたいな笑顔が出てましたねw
京子さんに「オメェどこの”初めての共同作業”だよ」ってからかわれてましたが、本当にねw
でもカオルよく頑張ったなぁ・・・こんなSでもない時にしっかりと自分の欲求を表に出して。
ナナちゃんにも見習ってほしいところであります。
馴染めたリョーコ
首輪のオーダーエピソードが終わり、次は館さんと後輩「榊原」のエピソードに続きます。
これは首輪エピソードの続きでもあり、次の「カオルがMになる」というエピソードのプロローグでもある繋ぎのようなお話。
やる気のない榊原の面倒を遥にお願いされた館さんは「はるかの期待に応えたい」と、榊原の指導に苦戦します。
この「はるかの期待に応えたい」という気持ちや、その時に同じ陸上部の月野とも打ち解けているシーンを見るに、犬編のエピソードがあってからしっかり陸上部(の中心メンバー)とは「なかま」と認めあえたのであろうことがわかって良かったです。
おそらく館さんはカオルとの息抜きは「高校生の頃の一過性のもの」として、大学に進んだら普通の恋愛をしていくんじゃないでしょうか。
その時にはナナちゃんではなく遥が親友となって支えてくれるのかな~・・・なんて感じました。
しかし・・・館さんが出てくるとなーんか嫌な予感しかしないんですよねえ、この物語はw
深夜の散歩、ふたたび
新しい首輪ができて、カオルは「もう一度ナナに着けたい」という思いが膨らみ、ナナちゃんは「もう一度(自分に)着けたい」と思い、見事に同タイミングでの壁ノックを果たします。
同タイミングってすごない・・・?w
もうお前ら付き合っちゃえよ!!
そして約半年前に出かけた深夜の公園へ、ふたたび首輪デートに繰り出すのでした。
個人的な話で恐縮ですが、ここの首輪デートのお話が作中で1、2位を争うエロさだったかと思います。
ナナちゃんが言葉では嫌がりながらもカオルの指示を次々とクリアしていくっていうギャップ萌えですね~・・・。
正直、ナナとカオルという作品を読んだことがない男子には、1巻を見せるより先に13巻を見せちゃった方がのめりこむのが早いんじゃないかと。
なまじっか二人の直接的な性行為がない作品であるがゆえに、ナナちゃんが(服越しとはいえ)自分の乳首を摘まむ描写がここまで映えたんだろうなぁ。
二人がいい感じになっているところで榊原の邪魔が入り・・・次巻へ続きます。(うまい引き!)
小ネタ
首輪デートに行く前に、二人は「このところ息抜き続きだし」ということをすごく気にして、お互いを誘うのを躊躇していました。
首輪を作るという話が長かったので「えー、そんなに息抜きばっかしてたっけ??」と思いましたが、冷静に時系列を追ってみると・・・この首輪デートって新学期が始まる前の話なんですよ。
ってことは3月末ぐらい。
で、3月頭には犬の息抜きをやって、3月の中旬・・・卒業式の前日には濃厚な「ナナの奥」をえぐりだす息抜きをして・・・。
ナナちゃん個人でいうとその後一人でノーパンでクレープを買いに行くということをこなしているので・・・1か月内で3回、しかも濃厚な息抜きが続いたわけです。
そう思うと、二人にとっては週に1回の息抜きだと「ちょっとやりすぎかな?」って罪悪感を覚える頻度だったりするのかもしれないですね。
(それでも結局欲求にあらがえずに息抜きしちゃってんだけど。。。)