ナナとカオル11巻の収録エピソードと、読んだ感想です。
11巻に収録されている話
タイトル | 初出 | |
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第88話 | ナナの奥 | ヤングアニマル 2012年No.23 |
第89話 | ナナのSOS | ヤングアニマル 2013年No.1 |
第90話 | ナナの悲鳴 | ヤングアニマル 2013年No.2 |
第91話 | ナナの形 | ヤングアニマル 2013年No.3 |
第92話 | ナナの気持ち | ヤングアニマル 2013年No.4 |
第93話 | ナナのお守り | ヤングアニマル 2013年No.5 |
第94話 | ナナがいっぱい | ヤングアニマル 2013年No.6 |
第95話 | 坂の上のクレープ屋さん① | ヤングアニマル 2013年No.8 |
第96話 | 坂の上のクレープ屋さん② | ヤングアニマル 2013年No.9 |
11巻は2012年~2013年前半に、ヤングアニマルに掲載されたお話が収録されていました。
エピソード別まとめ
ナナの奥編(10巻~第93話)
カオルの看病(第94話)
ノーパンクレープ屋さん編(第95話~12巻に続く)
見どころ・読んだ感想
11巻はナナとカオル本編史上で一番重いんじゃないか・・・?っていうエピソード、ナナの奥(ナナの形)編がメインとなっています。
プレイ内容もそこそこハードなんですけど、それでも満たされないナナちゃんが「もっと…」ってなるのがBlack Labelよりも重く感じるというか。
「ナナとカオルおもしろいから読んでみ」って言われた人がいきなりこの巻に手を付けて閉まったら「うえぇ・・・」ってなりそうな、そんな巻じゃないかと思いますw
だってヒロインも半分ぐらいずっと顔がない状態だし。。。
・・・ただ!
その後の展開を考えると二人の絆を深めるためにもすごく大切なエピソードだったので、今となっては僕も大好きなお話ではあるのですが!
その他のエピソードは一つの小さなお話と、次巻に繋がるお話の序章で構成されていました。
髪を結んでないナナちゃん
いきなりお話への感想ではないのですが・・・見どころとして。
普段ナナちゃんはハーフアップっていう耳から上の後ろ髪だけ束ねる髪型をしているじゃないですか。
そこに大きなリボンをして・・・それがめちゃくちゃ可愛いんですけどもw
11巻でのプレイは深夜2時・・・つまり普段だったら寝ている時間にスタートしたということもあって、ナナちゃんの髪も全部下ろしてあるんですね。
そのおかげかすごく大人っぽく見えるっていう・・・。これは見どころやでぇ・・・。
薄っぺらい笑顔
何気に心が不安定なナナちゃんは、カオルに縛られることで「ぐちゃぐちゃな心を決めてくれる」と安心します。
でもこの日は縛っても縛っても足りなくて・・・偽の笑顔を作り続けてしまうナナちゃん。
その表情の奥に本当の顔があることを見抜いているカオルは、苦しみながらもナナちゃんの期待に応えていくことに。
橘さんの店で買っておいた皮のマスクをかぶせ、その薄っぺらい笑顔をナナちゃんの顔から剥がしてあげたのでした。
ベンピ女ナナ
カオルはナナちゃんの薄っぺらい笑顔の奥にある本当の顔を出させるべく、「理不尽なことをされている」という状況を作り上げるためにスパンキングを開始。
お尻を持ち上げられた時点で「あっ…!?これ 知って…る あっ!!?くるッ!!!」と叩かれることを察知したナナちゃん。
それだけナナちゃんにとっても大切で、脳に焼き付いている行為だったんでしょうね。
・・・てか、今回はお尻にクリーム塗らないで叩いちゃったけどいいのかなぁ。
それでも心の奥の声は出すことができず・・・自分からお尻を振って求め、何度も叩かれるナナちゃん。
このタイミングでお母さんが帰ってこなくて本当に良かったw
それでも吐き出すことができなかったナナちゃんを担いでカオルはお風呂場に・・・。
ナナちゃんに水をかけながら・・・
辛いなら辛いってッ 思っていいんだよッ バカッ!!
壊れろッ!!今は壊しちまえッ
あ゙っあっ…あ゙の笑顔ッ
あんな胸糞悪ィ笑顔ッ!今はッ
ここでだけでもッ 壊せよッ ナナッ
と揺さぶりかけます。
それでも便秘なナナちゃんは出すことができませんでした。
ナナの闇
ナナちゃんは結局のところ、薄っぺらい笑顔でみんなが望む自分を演じ、居場所を守っていたのでした。
だってそれがなくなってしまったら・・・いったい何が残るのか?
読者やカオルにしてみたら、それでもすごく魅力的なんだけれども・・・やっぱり本人は一人の”かわいそうな”女の子に過ぎないわけで、自分のことを客観的になんて見れません。
そうなれば、最善は自分が我慢して居場所を守ること、になっても仕方がないんです。
だから心の奥、お腹の中にある本当の声なんて出せるわけがない。
千草奈々の魅力って、こういう生々しさというか・・・人間臭い部分にあるんですよね。
ただ単純に才色兼備、完璧な女の子だったらこんなに美しくはなかったんじゃないかと思います。
つらいよっ!!!
叩かれようと水をかけられようと心の奥にある思いを出せなかったナナちゃん。
・・・が、カオルに抱きしめられ、温もりを感じたときに「自分の居場所」があることに気づかされたのでしょう。
作中で文字としては書かれていませんでしたが、大声で泣きわめくことができたんだと思います。
本当は辛かった。でも平気な顔をして隠して、そしてもっとつらくなって・・・。
ナナちゃんの心の声を聞いていたら読んでるこっちも涙が出てきてしまうほどでした。
ナナちゃんはナナちゃんで、涙どころではなく、穴という穴からいろんなものが出ちゃってましたね・・・。
最終的におしっこまで漏らしてしまうものの、それでもカオルという居場所はそこにいてくれて・・・ナナちゃんは無事、闇から解放されることができたのでした。
・・・カオルすげーなァ!
…ホラ♡…ね♡
プレイ終盤、現実に引き戻されようとする時、カオルに皮マスクを剥がされると本当に涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃのナナちゃん。
こんな状態になるまで心の奥にあるものを吐き出せたのなら、さぞや”息抜き”になったことと思います。
一方カオルはカオルで涙で目を腫らしながらも、プレイの〆として
今の…ナナも キレイだよ
よっよっよくっ ホントによっよく がんばったな… ナナ♡
とSに徹して強がることができました。
ぐしゃぐしゃの顔を見られたくないナナちゃんと、見られたとしてもカオルなら受け入れてくれると信じたいナナちゃん。
カオルが受け入れてくれたことで、甘えることが出来たようです。よかったよかった。
カオルの手で鼻をかんで「らってェ!!わらし動けないしィッ!!!」って顔を赤らめるナナちゃん可愛かったぁ。
消えないお守り
あと数時間で卒業式の送辞を読まなければならないナナちゃん。
身体を縛っていた感覚が消えていくのを感じるごとにまた不安を覚えてしまい・・・カオルに「消えない痕」をつけて欲しいとせがむのでした。
カオルはナナちゃんの首筋に噛みつき歯型をつけ、ナナちゃんはその痛みをお守りとして無事卒業式に臨むことができたのです。
このエピソード、ラストイヤー11話の歯形の婚約指輪エピソードにも通じてそうで良いですね~。
また、ナナちゃんが「バンソーコーで隠れるような」残る痕が欲しいと告げたシーン・・・その前にカオルがほっぺにキスをされてバンソーコーをしていたところともリンクしている気がします。
ただあっちはキスだったのにこっちは歯形っていうのが・・・ナナちゃんのMらしさを表していて、、、
僕はもっとノーマルな二人の恋愛が見たかったですよ!
でもあれか、カオルも興奮しすぎて寝られなかったわけだし・・・この2人は結局いいパートナーってことなんだろうなぁ。
ナナちゃんの卵酒
翌日風邪をひいてしまったカオル。
ナナちゃんが看病にきてくれるのですが・・・これまで何度となく「不器用」であることが描かれてきたナナちゃんのお手製卵酒を飲まされることになります。
もうね、すっごいガサツなんですよね・・・この子、料理に関してはw
なんでなんだろう?家庭科の授業は真面目にやらなかったのかな。
それともなまじっか「できる」ために、「なんとなく」でやっちゃうのかな・・・。
とにかく隣人とはいえ他人の家のキッチンをめちゃくちゃにしながらカオルに愛情の入った卵酒を作るのでありましたw
カオルに無理矢理飲ませ「おっし!よくできました♡」ってシーンを見ると、この二人が本当に幼馴染で、小学生の頃なんかは性別関係なく遊んでたんだろうな~というのが思い浮かびます。
そういう間柄だったとしても恋心に発展することって本当にあるんですかねえ・・・(しみじみ)
カオルが見た夢
卵酒のせいで気を失ってしまったカオル。
夢の中では今までのプレイでMを演じたすべてのナナちゃんが登場します。
ナナちゃんが好きという気持ちも本当なんだろうけど、そこからこじらせた「SMが趣味」というのもカオルの芯というか、本当の部分なんだろうなぁ。
ちなみにこの夢・・・さすがカオルの妄想の世界ということもあり、作中では珍しくナナちゃんに直接性的な行為をして感じさせる・・・という表現が取られていました。
いつかは2人も本当にこういう時が来るのかな。
カオルがそんな夢を見ている間、ナナちゃんはずっとおろおろしながら見守っていたわけなんですが・・・あんな夢を見てたら色々危険だっただろうなぁ、、、(主にシモの方が)
カオルと二人…だけの世界
卵酒やら母ちゃんの往復ビンタやらで風邪が悪化したカオル。
見舞いにきてくれた館とのあれこれのせいで、ナナちゃんに「ノーパンでクレープを買ってこい」と命じてしまうことに。
もちろん普段のカオルなら、そんなリスキーな命令はするはずがないんですけどね・・・。
風邪ゆえに判断能力が弱っていたのか、そんなことできるはずがないと思っていたのか。
おかげでナナちゃんは「カオルがいない”息抜き”は緊張感が違う」ということに気づかされてしまいます。
そしてそれはつまり「いつもカオルが助けてくれるって思ってるん…だ」という自分の気持ちの裏付けでもあったのでした。
カオルがいない状況でのリスキーな息抜き。
もし・・・ここで自分が変態であるということがバレてしまったら・・・?
友達や学校の先生、親でさえも離れてしまうかもしれない。
でも・・・カオルだけは味方でいてくれるんじゃないか・・・?
そんなことを思い出しながら舌をペロッとさせ・・・次巻に続くのでした。
ヘビーなお話のあとでこのクレープ編。
なんか一気にホッとする感じで良きですw