ナナとカオル最終18巻の収録エピソードと、読んだ感想です。
18巻に収録されている話
タイトル | 初出 | |
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第151話 | いない毎日(後編) | ヤングアニマル 2016年No.7 |
第152話 | ナナは受験生ですから① | ヤングアニマル 2016年No.8 |
第153話 | ナナは受験生ですから② | ヤングアニマル 2016年No.9 |
第154話 | ナナは受験生ですから③ | ヤングアニマル 2016年No.10 |
第155話 | ナナは受験生ですから④ | ヤングアニマル 2016年No.11 |
第156話 | ナナは受験生ですから⑤ | ヤングアニマル 2016年No.12 |
第157話 | ナナは受験生ですから⑥ | ヤングアニマル 2016年No.13 |
第158話 | ナナは受験生ですから⑦ | ヤングアニマル 2016年No.14 |
第159話 | ナナは受験生ですから⑧ | ヤングアニマル 2016年No.15 |
最終話 | ナナとカオル | ヤングアニマル 2016年No.16 |
18巻は2016年中に、ヤングアニマルに掲載されたお話が収録されていました。
沖縄編が終わったあとで休載があり、そのあとはラストスパートのように休みなしで最終回に向かったようですね。
最終巻1冊に収めるため、いつもより1話多い10話で構成されています。
エピソード別まとめ
カオルのいない息抜き(17巻~第151話)
GW軽井沢編(第152話~最終話)
見どころ・読んだ感想
18巻はナナとカオル本編の最終巻。
最終巻でありながら、ナナちゃんとカオルによる息抜きはなく、代わりにカオルに似た矢神家の人間「清彦」が登場して強引なSMをナナちゃんに強要しました。
(清彦は読者の間でも物凄く評判が悪かったことでしょう)
ブラックレーベルが始まったころには「二人の卒業まで描く」と意気込んでいた甘詰先生でしたが、アニマル本誌での連載は高校三年生のGW・・・つまりブラックレーベルにたどり着く前に終わってしまいました。
この時リアルタイムで読んでいたファンはどういう気持ちであの最終回を読んだんでしょうね~。
ちなみに18巻はこの作品の「本当の最終回」を描いているわけではありません。
というのも連載終了から2年後の2018年には電子書籍ハレムにて正式な続編となる「ナナとカオル 高校生のSMごっこ(ナナとカオル LAST YEAR)」がスタートしているからです。
LAST YEARはナナちゃんが自分の気持ちに気づいてしまった後の話ということもあり、本編とは違った二人の関係が見られて面白いです。
といってもナナとカオルであることに違いはなく、二人の高校生活最後の一年が描かれているので、ここまで本編を読んできた方なら必読と言えるでしょう。
鋭いナナ母
前回から続く館さんとの息抜き中に帰ってきてしまったナナちゃんの母。
なんだか様子のおかしいナナちゃんをみて
ひょっとして 好きな男(ひと)できたりした?
と尋ねました。
その後の描写はありませんでしたが、やっぱり「そっそ そんなことないってェ…」とか言って誤魔化したのかなぁ?
でもその言葉が頭の中でリフレインし、ナナちゃんは自分がいつもカオルのことばかり考えてしまっていることを再認識させられるのでした。
カオルがいなくても首輪してるナナちゃんw
結局、沖縄から帰るときにはお互いに納得していたはずの二人ですが、頭でわかっていてもそれを簡単に受け入れることができるはずもなく・・・ナナちゃんはボンヤリと外を眺める日々を送っているのでありました。
それを心配した矢神会長(もちろん下心もあり)からGW勉強合宿に誘われ「いい刺激になるかも」と参加することに。
「よーし!気持ち切り替えなくっちゃ!!」と決意した彼女の首には「ちゃりん」と錠前付きの専用首輪が光るのでありましたw
キモヒコ登場
合宿中も結局勉強に身が入らないナナちゃん。
「いない日々に慣れないと」と考えていた彼女の前に現れたのは、なぜかカオルにそっくりなカエル面の男、矢神清彦(通称キモヒコ)でした。
キモヒコは作者がナナちゃんに仕掛けたトラップで、そこにカオルの影を感じてしまったナナちゃんは簡単に引っかかってしまいます。
以前館さんとの息抜き中に撮影した緊縛画像を消していなかったため、それをキモヒコに見られてしまうナナちゃん。
そこからキモヒコの歪な愛情の餌食にされていくことに。
嫌な話だったなぁ・・・これ。
この男、カオルとは似ても似つかない卑劣漢・・・のように描かれており、おそらく読者100人中100人が嫌いなキャラだったと思います。
でも・・・もしかしたらカオルもナナちゃんという存在がいなければ、キモヒコみたいになっていた可能性もあるのではないでしょうか。
そもそもカオルだって偶然”息抜き”が始まらなければ、そこでナナちゃんの存在があそこまで大きく膨らまなければ、彼女を凌辱するという妄想を繰り返すだけだったわけですよ。
そう思うと、カオルにはナナちゃんがいて良かったなって思います。
ほんと、幸せにしてあげて。
ナナちゃんが堕ちなくてよかった
キモヒコは自分とナナちゃんを「同類」と重ねて、言葉で縄で責め上げます。
ナナちゃんは感情に不安定なところがある子なので、下手したらこれで堕ちてしまう可能性もあったかと心配でしたが・・・「カオルは闘っていた」「誰かを憎んだりしなかった」
カオルの縄はあなたなんかよりずっっと気持ちいいわ
そしてあんたなんかよりずっっと強い!!私のS なんだから
とキモヒコを突っぱねました。
なお執拗に責め続けるキモヒコ。
一線を越えてしまうかと思われたその時、ナナちゃんのピンチにはいつも駆けつけるカオルが登場!
王道だけど熱い展開だった!!
ていうかキモヒコがナナちゃんの特徴的なリボンをつけた後ろ姿なんか安易にアップロードするからカオルは助けにこれたわけで。
本当に運が・・・天が二人の味方をしたのかなとしか思えませんね!
一緒じゃなきゃいやッ!
激情するキモヒコからナナちゃんを守るため、「先に逃げろ」「茂みに逃げ込め」と指示するカオル。
2巻でヤンキーに絡まれていたナナちゃんを助けようとした時に比べると覚悟が違います。こんなん惚れる。
キモヒコに足を切られ、走ることができないカオルを見て、ナナちゃんが取った行動・・・それは、カオルを抱きかかえて逃げるというものでした。
カオルは自分のために闘ってくれている。
でもカオルのことが好きだという気持ちに気づいてしまっているナナちゃんは・・・カオルと一緒に乗り越えていきたいわけです。
キモヒコに崖へと追い詰められた二人。
「オレと堕ちる女だ」と詰め寄るキモヒコを横目に「一緒に落ちるぞ」とカオル。
ナナちゃんはペロッと舌を出し、二人は一緒に、崖から落ちていくのでした・・・。
「おちる」という同じ言葉でも、ナナちゃんに響いたのはカオルの言葉だったわけですね。
まぁこんなポッと出の三下ヤローになびくはずがないってのは当然のことなんだけれどもw
(キモヒコ、ナナちゃんのペロッを見て絶望してたなぁ・・・)
カオルは決して、ナナちゃんを絶望の淵に「真正のM」へ堕としたいわけではないんですよ。
彼にとっては頑張っていて、みんなに好かれている千草奈々という人物そのものが大切なのであり、だからこそそれを守るために闘い続けているわけです。
カオル、ミゾコーに復学
崖から落ちても無事だったナナちゃん。
・・・と、足を骨折したカオル。
ちゃんとナナちゃんを守ったんだなァ・・・えらい。
結局この騒動を機に、卒業まではカオルを東京に残すという決断をしたカオルの母ちゃん。
よかったよかった。
・・・って、カオルが沖縄に行ったのって4月の頭で、事件が起きたのは5月頭だったんですよね。
なので沖縄の高校にも1か月近くは転入してたと思うんだけど・・・そんな簡単に戻れるもんなんだろうかw
あと例のマンションの部屋って1か月近くもずっと解約手続き等せずに残してたってことなのかな。。。
まぁ、漫画なんでその辺のことは考えちゃダメですな!
イケメンになった矢神会長
DVDの一件(12巻)で、いけすかないヤツから「いろいろ苦労してるヤツ」みたいな評価になった矢神会長w
最終的にはカオルを認め、東大受験の手助けとして勉強を見てくれることになりました。
・・・これってブラックレーベルの3巻あたりですでに描かれていた未来だったんですよねえ・・・熱い!!
ありがたいと思いながらも「ひょっとしてオメェ…気に病んでるのか? あのクソ(キモヒコ)がやったことはオメェとは関係ねェ…」と遠慮するカオルに対し
そんなんじゃねーよ!
オマエのこと 大した奴って思ってるから…さ
だって。
なんか最後の最後で涙出た。ほんとに。
矢神会長・・・急にイケメンになっちゃって。。。
この二人のエピソードは次のラストイヤーにまで持ち越され・・・結果的に矢神会長はカオルとナナちゃんの仲を後押ししてくれることになるのですが・・・それはまた別の機会に!
なぜか乳首勃ってるナナちゃん
矢神会長と入れ替わりに病室に入ってきたナナちゃん。
「運がよかっただけだ!!」「いつまでたってもナナの隣にいていい人間になれる気がしねえ」というカオルに、「カオルは何度も私を助けてくれた」と告げます。
そしておもむろに二人の首輪を出し、
して♡
とおねだりしました。
・・・なぜかこの時のナナちゃん、制服のブラウスの上からわかるほどに乳首が勃ってるっていうwww
なにこの描写・・・もう、なんの意味があったんだろうこれ。
せっかくのいいシーンなのに。。。
告白
いつまでたってもナナちゃんの隣にいていい人間になれる気がしないといったカオル。
裏を返せば「ナナちゃんの隣に居たい」ということ。
それを受けてナナちゃんは「ずるいよ 自分ばっかりいい男になろうとして」と伝えました。
そして
私ね「一緒がいい」って言ったの 覚えてる?
私だってカオルの横にいたいよ
頑張ってるカオルの隣にふさわしい人でありたい
と告白します。
これ・・・もう告白ですよね。
お互い「あなたが好き」と言ってないだけで。
現にラストイヤーで館さんに「告白したのか?」と聞かれたときにナナちゃんはこのシーンのことを話していましたし!
それに応えるようにカオルはナナちゃんの首に首輪をつけるのでした。
※この時の見開きの美しいナナちゃん・・・ラストイヤー単行本の人物紹介に使われてるヤツやぁ・・・。
ラストシーン
無事日常に戻った二人。
ナナちゃんは補習の帰り道、心なしか幸せそうな顔をしていました。
それもそのはず・・・家に帰れば隣の部屋にはカオルがいるわけですからね。
まったく高校生でけしからん遊びを覚えよってからに・・・。
帰り道、カオルに会えるのを待ちきれないナナちゃんは駆けだすのでした。
このナナちゃんの後ろ姿がめちゃくちゃ可愛い。。。
そして二人の日常、”息抜き”が開始されようというところで「ナナとカオル」本編は終了となりました。
全体の感想
いやー・・・今から3週間前ぐらいに初めてこの作品を知ったのですが、、、めちゃくちゃにハマってしまいました。
おかげでもうこの1~18巻を何周したかわからないぐらいには読みましたね、、、
※少なくとも10周は読んだと思う。
とにかく感想としては「面白かった!」に尽きます。
僕が今までの人生において読んできたラブコメの中ではもう断トツに面白かった・・・。
SMというテーマがなければもっと他の人に薦められるのにッ!!!という思いもありながら、でもやっぱり二人の間に”息抜き”は絶対に必要だったわけで、、、なんとも葛藤させられる作品だったなと思います。
最終回はとてもきれいにまとまっていて、「これで最後」って言われてもみんな納得だったっていうのはわかる感じ。
簡単な言葉で気持ちは伝えなかったけれど、お互いに気持ちは通じ合って・・・きっと二人には幸せな未来が待ってるんだろうなと。そう信じさせてほしい。
※でもこの時点で甘詰先生が考えてたのって、カオルは東大に落ちて、ナナちゃんは弁護士になって・・・みたいな未来だったんですよねえw
上の方でも書きましたが、二人のエピソードはこの後でラストイヤー1巻、ブラックレーベル1~5巻、ラストイヤー2巻以降へと続いていくことになります。
続編を描いてくれてありがとう甘詰先生・・・!!!二人の行く末をもっともっと見守らせてください!!!